「自分のことが嫌い」「自己肯定感が乏しい」「周囲にとても気をつかう」それは子どもの時に育まれる愛着がうまく形成されなかったからかもしれません。愛着の問題があると、逆境やストレスに弱くなってしまいます。では、大人になってからでも愛着の形成はできるのでしょうか?精神科医の村上伸治さんが「自己肯定感を育てて、何があってもグラつかない自分になる方法」を教えてくれる『大人の愛着障害:「安心感」と「自己肯定感」を育む方法』から一部を抜粋して紹介します。
愛着障害は大人には診断されない。将来PTSDを引き起こすことも
愛着障害は、乳幼児が母親などの養育者とのあいだに愛着=心理的な結びつきを形成できなかったために幼児期に発症する精神疾患です。
愛着障害の原因でもっとも注目されているのは、虐待や不適切な養育=マルトリートメントです。
マルトリートメントとはアメリカで生まれた言葉で、子どもに対する身体的・心理的・性的虐待や育児放棄(ネグレクト)のほか、幅広い不適切な養育環境を指します。
子どもの目の前での家庭内暴力(面前DV)や親の都合で長時間留守番をさせること、親の気分で子どもへの対応をコロコロ変えること、頭ごなしに叱ること、子どもの意志を無視して進路や職業を決めることなどもマルトリートメントに含まれています。
とくに、子どもの発達に支障が出るほどのネグレクトや養育者が頻繁に変わるなどの状況が続いた場合、子どもは養育者とのあいだに心理的結びつきを形成することができず、愛着障害の要因になると指摘されています。