洗面所の鏡に映る私の頭に

抗がん剤は非常にだるく、回数を増すごとに回復しづらくなりました。私は娘に何もしてあげられないことで自分を責め、死への恐怖は心を支配していきました。その時、「ママは何もしなくても、ここに居るだけでいいんだよ。」という娘のひと言に私は救われました。目から鱗が落ちるとはこう言うことを言うのだと思った瞬間でした。その後も10年のホルモン治療は長く、時には辛くて耐えられそうにない時もありましたが、私は乗り越えられてきました。

私がこの作品で表現したのは、「再生した私」です。抗がん剤で髪の毛は抜けます。非常に辛い経験でした。しかし、ある日、洗面所の鏡に映る私の頭に赤ちゃんのように柔らかい髪の毛が生えてきたのです。1つの光が差したように非常に嬉しかったです。必ず、再生されるということを実感しました。

15年経っても再発の可能性はありますが、今の私は正直何の不安もありません。思考が現実になると知ってから、楽しいことばかり考えるようになったからだと思います。1度きりの人生、自分を愛して労って思いっきり楽しんでいきましょう。あなたの幸せを心から願っています。


第13回 リリー・オンコロジー・オン・キャンバス
がんと生きる、わたしの物語。コンテスト 受賞作品一覧

 【最優秀賞】
・絵画部門『きらきらゆらゆら悔いなく自分らしく
・写真部門最優秀賞『焼きおむすび
・絵手紙部門最優秀賞『看護師達

【優秀賞】
・絵画部門『おかあさん ありがとう
・写真部門『はじめて並んで歩いた日
・絵手紙部門『大丈夫

【入選】 
・絵画部門『再生した私
・写真部門『自然のいのちとわたしの生命(いのち)
・絵手紙部門『あなたの分も生きていきます
・絵画部門『また逢う日まで
・写真部門『家族
・絵手紙部門『「おいしいね」と言える幸せ